2016年7月4日月曜日

7/4 ブックンロールとは、そして沖縄開催のいきさつ

「ブックンロール」。
この言葉に言いしれぬトキメキを覚えます。なぜなら大好きだから! 

自分が運営するイベントを「大好き!」とはなんだかちょっとアレみたいですが、そうではなくて、実は、ブックンロールオキナワには、「本家」と言うべきイベントがあるのです。それが、東京で2010年から2015年にわたって開催された「ブックンロール Book’n’Roll」です。

この素敵なイベントを企画・主催されていたのは、編集人の空犬太郎(そらいぬ・たろう)さん。本と本屋好きのあいだでは全国的に知られた方で、私もたいへん尊敬しています。

活動は多岐にわたっていて、『本屋図鑑』『本屋会議』の著述・編集ほか、雑誌やムック等の本屋特集における執筆、ブックンロールをはじめ「町本会」ほかの多彩なイベント運営など。また、Twitter@sorainu1968)およびブログ「空犬通信」でも本と本屋についてのニュースを驚くほど膨大に(本当に驚くほど!)発信しています。そうした情報を得たいという方は、ブログとTwitterのフォローはマストですよ。

私が、ブックンロールオキナワを称して言う「本と書店と音楽のイベント」というフレーズも、本家「ブックンロール Book’n’Roll」からお借りしたものです。


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「空犬通信」にはもちろん「本家ブックンロール」の運営情報なども詳細にアップされていますので、その中から、2010年~2015年までのキャッチフレーズを拾ってみました。各イベントのリンクを貼り付けましたので、どのような方が出演され、どのようなテーマで語り合ったのか、ぜひご覧ください。

2015年】
ブックンロール Book'n'Roll 2015 The Last Waltz ~それでも本屋はおもしろい~

2014年】
ブックンロール Book'n'Roll 2014 ~それでも「本屋」で、生きていく~

2013年】
ブックンロール Book'n'Roll 2013 ~やっぱり本屋はおもしろい~

2012年】
ブックンロール Book'n'Roll 2012 ~上を向いて歩こう~ 1  2

2011年】
BOOKROLL Vol.3 ~街の本屋ですが何か?~ 1  2

2010年】
BOOKROLL 2010



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私は沖縄在住ながら、空犬さんの日々の発信から「東京で、ブックンロールという音楽と本のイベントがあるらしい」と知りました。2013年のことです。イベントが開かれることになった背景には、本屋が置かれてしまった苦境があったことでしょうし、いっぽうで、日々頑張っている書店員や、出版社や、取次会社の存在もあったことでしょう。

そうした状況は沖縄でも変わりはなく、わたしも出版社に働くひとりとして、なにかできないか、なにか打てる手はないだろうか、そんなことを考える日々が続いている中でした。しかし、会場は東京、ここから簡単に行ける距離でもありません。沖縄という小さい島のすみっこで、ずっとなにかが引っかかったまま、時間が過ぎていきました。

そして、翌年、ふたたび「ブックンロール開催」のお知らせをTwitterで見かけました。一年も引っかかっていたのだから、もう迷っていてもしかたがない。私はすぐに参加の申し込みをしたのでした。「いままでブックンロールに参加した中で、もっとも遠くから来た人です」と、打ち上げで一気に仲良くなった空犬さんに言われましたが。

過去にこんな記事を書きましたので、よろしければご覧ください。



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本家ブックンロールは、2015年に「The Last Waltz」と銘打って、ひとまずの終了を見ました。空犬さんは6回のイベントを振り返って、ブログでこんなふうに書いておられます。

「本を、書いたり、作ったり、売ったりする側がしょんぼりしていてはいけない……そんなふうに思い、ならば、そのしょんぼりしていない連中がどんなことをしているのか、どんなことを考えているのか、イベントのかたちでみなさんに聞いてもらおう、見てもらおう、ついでに、そういう連中はけっこう楽しんでやってもいるんだよ、というところも見てもらおう、ということで、このような、トークにライヴをくっつけたイベントを考え出しました。2010年のことでした。」

2014年、2015年とブックンロールを見に行って(翌年も行ったのです)、単に「悲しい」「寂しい」という気持ちで終わりを迎えることが全くできませんでした。もうなんといいますか、陳腐な言い方ですが本当に心にぽっかりと穴があいたような。

沖縄とはまた違った、本の現場のことがたくさん聞けたのもブックンロールのおかげでしたし、ただの沖縄のいち編集者に、東京や県外で頑張っているたくさんの皆さんと知り合う機会をくれたのもブックンロールでした。

そのつながりで、空犬さんと夏葉社の島田潤一郎さん、往来堂書店の笈入建志さんが主催する「町本会」を沖縄で開催するときは現場のお手伝いもしました。この町本会をきっかけに、沖縄の本屋さんたちとも面白いつながりができましたが、それは別のお話に譲ることにしましょう。ブックンロールはわたしにとって、地域を越えて、さまざまな本の現場とつないでくれる大動脈のようなものだったのだと、あとで気付きました。


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「沖縄でもブックンロールができたらなぁ」。そんな考えが浮かんだのは、はじめてブックンロールを見た日でした(早い)。イベントの翌日にはお茶の水でエレアコのギターを買い(それまで弾けたためしはない)、沖縄に戻ってからは、友人知人にブックンロールで聞いたこと見たものについて熱っぽく語る私は、どんなふうに見えたでしょうか。

2015年の秋、個人的な用事で(まあ遊びにというやつで)私は上京することになり、空犬さんにもそのことをメールでお伝えしたところ、「自分が主催しているbeco talkというトークイベントにプチ出演しませんか」というお申し出をいただきました。西荻窪のブックカフェ「beco cafe」で定期的にイベントを開催しておられたのです。

当日は、慣れないことで冷や汗をかきながら沖縄の出版事情についてお話をしたのですが、打ち上げの場で、空犬さんに「沖縄でのブックンロール開催を実現させたいのです」と図々しくもお願いしたところ、空犬さんは快くオーケーを出してくれました。
夢みたいでした。


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そんなことで、長い長いいきさつの話はまとめに入ります。

ブックンロールオキナワには「本家」というべきイベントがある。

それが2010年~2015年まで東京で開催された「ブックンロール Book’n’Roll」である。

「本家」の主催は、本に関する多彩な活動をしている空犬太郎さん。

沖縄での開催は、「本家」イベントをリスペクトし、大ファンだった沖縄のいち編集者によるもの。

これから開催されるブックンロールオキナワ。どのような内容になるのでしょう。どのような方が来場されるのでしょう。「本家」と比べるべくもない頼りない主催者ではありますが、それでも、来られた方が何かを感じ取って、何かを持ち帰ってほしいと思っています。

大動脈とまではいわなくても、本屋さんや、本が好きな人や、本を作る人たちをかすかにでもつなげていけたら。流れをすこしずつでも広げられたら。そんなことを考えています。

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