2016年8月2日火曜日

8/2現在【出演者情報】リブロリウボウBC店 筒井さん

気付けば8月ですね。
ブックンロールオキナワの仕込みも粛々と進んでいます。
先日は無事にバンド名が決まりました。

さて前回の更新では、【ライヴの部】【トークの部】両方に出演されるBOOKSじのんの天久斉さんについてお知らせしましたが、今回は【ライヴの部】にご出演の方、そしてお店についてご紹介したいと思います。

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筒井陽一(つつい・よういち)
1975年4月23日、練馬区生まれ。リブロリウボウブックセンター店店長。書店は豊島区育ち、さらに吉祥寺育ち、大阪名古屋を経て、さらに沖縄育ち中。大友克洋リスペクト。
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筒井さんが店長を務める「リブロリウボウブックセンター店」。沖縄のメインストリート国際通りの起点となっている、沖縄県庁前スクランブル交差点に「RYUBO」と書かれた大きなビルが建っていますが、そのデパートリウボウの7階にあります。

沖縄のリブロのことを語るには欠かせないエピソードに、「南北大東島への出張販売」があります。

北大東島と南大東島は、沖縄本島から東におよそ360キロ離れたところにあります。島は高い崖にかこまれていて、フェリーでやってきたお客さんは、崖のうえにある港からゴンドラごとクレーンで吊りあげられて上陸します。飛行機ももちろん就航しているのですが、このクレーンでの上陸は一度体験してみたいものです。

人口は、北大東はおよそ700人、南大東はすこし大きいですがそれでも1200人ほど。いずれも学校図書館はありますが、残念なことに本屋さんがありません。

リブロでは、南大東島へは春と秋に、北大東島へは初夏に、数千冊もの本をどんぶらこっと運んで出張販売を行っています。

今年も6月には北大東へ。

会議用の長机をならべて平台にして、人文書や文芸書、そして雑誌やコミックの最新号などを含めた4000冊の本が並んだそうです。子どもたちがおこづかいや図書券を握りしめて朝から待っている姿や、おじいちゃんおばあちゃんが笑顔で本を選んでいる姿などを、ニュースで見るたびに胸が熱くなります。

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実は、この出張販売を始めたのは「沖縄文教図書」という本屋さんでした。
創業は1950年。きっかけは沖縄戦にさかのぼります。

戦争は沖縄の何もかもを焼き尽くしましたが、教育も例外ではありませんでした。教師や、なによりも当の児童生徒も多くが命を落としましたし、かろうじて戦火を免れた人々であっても、終戦直後はその日を生き延びられるかどうかの状態におかれましたので、学校どころではないわけです。

それでもと教師たちは学校を再開させようとしましたが、集まった子供たちをまずは海に連れて行き、汚れきった体を洗うことから始めざるを得なかったそうです。青空のもと、海岸の砂浜を黒板代わりに、戦争で燃えのこった紙にクギで文字を書いたものを教科書にして、戦後沖縄における学校教育はスタートしました。

のちに、日本でつくられた教科書の配給が米軍からおこなわれるようになりましたが、現場の要望からはまるで外れたものでしかなく、学校現場からは「自らの手で、良い教科書や教材を選びたい」という声が高まっていきます。こうして、学校の先生や地区教育委員会の皆さんが中心となり、「沖縄文教図書」が設立されたのだそうです。

戦後沖縄の本屋さんの歴史において、「教科書」はひとつの大きなキーワードだと言えるでしょう。

日本との民間貿易が自由化された1950年以降は、商品の行き来も比較的自由になっていきましたが、ドル/円の交換レートの問題、輸送コストなど、沖縄という「外国」かつ「遠隔地」での仕入れには苦難がつきまとったそうです。これは文教図書に限らず、沖縄のたくさんの書店がそうだったでしょうし、現在でも似たような問題は残っていますが。

沖縄の子供たちに、本土と同じように教科書を。
宮古や八重山にも積極的に店舗をつくり、本屋のない離島にも出向いて出張販売を行ってきた背景には、そうした創立の理念があってこそだと思います。

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2003年、文教図書はデパートリウボウ内にあった店舗を閉め、その歴史に幕を下ろしました。あとに入るかたちでオープンしたのがリブロリウボウブックセンター店です。

わたしたち地元出版社は、自分たちでつくった本を沖縄県産本と呼び、文教図書で「沖縄県産本フェア」を開催したり、店頭にもたくさん本を置かせてもらったりしていましたから、それを県外から来た書店さんが継続してくださるのか、正直なところ戦々恐々という気持ちもなくはなかったのですが、リブロさんは出店が決まった早々から、取引も、そしてフェアも継続することを決めてくださり、さらに、「過去よりも盛り上げたい」と熱烈なる二人三脚で取り組んでくれました。

「南北大東の本屋さん」が、文教図書からそのままリブロに引き継がれたように。

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そのようなことで、またまた長ーく長ーくなりましたが、今回のブックンロールオキナワに出演される筒井さんは、昨年、那覇のリブロに副店長として赴任され、現在は四代目の店長を務めています。

筒井さんは以前から「本家ブックンロール」のことは知っていて、本家主催の空犬太郎さんともよく飲みに行くほどの間柄とうかがっていますが、まさか沖縄でブックンロールに出演する羽目になるとは思っていなかったことでしょう。温厚なお人柄の、かっこいいベース弾きですよ。

そして、ことしもリブロでは「第18回沖縄県産本フェア」が開催されます(9月15日(木)~10月4日(火))。毎週末にはトークイベントが行われるのですが、そのうちのひとつが「リブロスタッフが語るエピソード―海をちゃぷちゃぷ 南北大東島 出張販売―」。
筒井さんも出演してあれこれ語ることになっていますので、そちらもどうぞ楽しみになさってください。


特別トークイベント「週末もリブロへGO!」 
会場:リブロリウボウブックセンター店、観覧無料

●917日(土)15時~ 
『金城次郎とヤチムン -民藝を生きた沖縄の陶工』松井健著 刊行記念トーク/出演:松井健(東京大学名誉教授)、倉成多郎(那覇市立壺屋焼物博物館学芸員)

●918日(日)15時~ 
リブロスタッフが語るエピソード 海をちゃぷちゃぷ 南北大東島 出張販売 /出演:リブロスタッフオールスターズ 

●919日(月・敬老の日)15時~
絵本『歌うの大好きミミクジラ~』読み聞かせ/出演:沖縄県子どもの本研究会

924日(土)15時~
沖縄の釣りを語る!~ルアーで釣ろう!~ 出演:sacom works先生(釣りマンガ「LUCKY CAT’s LURE FISHING SCHOOL」執筆)ほか 

●9月25日(日)
14時~「先人の墓所をたずねる ~墓参までの裏ばなし~」/出演:仲村顕(歴史教育研究会)  
16時~『生態写真と鳴き声で知る沖縄のカエル』(佐々木健志・山城照久・村山望著)刊行記念トーク/出演:著者一同

●101日(土)15時~
絵本『チムドンドンおきなわ』ワークショップ -箱の中身は……?/出演:絵本スタジオ アコークロー 安里めぐみ

●102日(日)15時~
2回 リブロからスタート ぼくの〈那覇まち〉放浪記ツアー/ガイド:新城和博、定員10名(リブロへ要申し込み、電話098-867-1725


リブロリウボウブックセンター店
〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地1-1-1
デパートリウボウ7F
TEL:098-867-1725
営業時間:10:00〜20:30


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