2016年10月5日水曜日

【ライブの部出演情報】怪談作家 小原猛さん

いろいろ極まってきたブックンロールオキナワ2016。新聞・テレビ・ラジオほか、メディアの露出度も高めです。トークイベントとしては(新人バンド「やぎ」としても?)、注目度がかなり高いのではないでしょうか。

取材してくださったメディア関係各位には感謝しかありません。このブックンロールオキナワによって、沖縄の本屋さんにさらなる注目が向いてくれると最高だと思っています。

■ ■ ■

さて前回の更新では、【ライブの部】にラッパーとして登場されるじゃぱなさんについて記事を書きましたが、今回はこちらの方を。

-----------------------------------------------
小原猛(こはら・たけし)ダムダムブックス
1968年8月24日、京都生まれ。怪談作家。『琉球怪談』シリーズほか著作多数。
好きな漫画は山本英夫『ホムンクルス』。
-----------------------------------------------

「沖縄では、本の現場のみなさんの仲が良い」と、どこかで書いたことがあります。仲が良いだけではなく、なんといいますか、境界があいまいでゆるい。例えば古本屋さんが本を出版したり、古本屋でふつうに新刊を売ったり、逆に、新刊書店でふつうに古本が並んでいたり、そんなことが日常的にあります。ほかの地域をあまり知らないので、同じようなこともあるのかもしれませんが。

これは、沖縄の戦後史も関係していると個人的には思っています。

沖縄は、戦後から1972年までは米軍による占領下でしたから、高度経済成長も東京オリンピックも大阪万博も、そこから派生した恩恵も、満身に受けることはありませんでした。なによりも日本から遠く離れた島ですから、商品だって日本並みに入るとはとても言えません。

そんな中、本という数少ない知的商材を、「新刊/古本」と区別することはあまりなかったのだと思います。復帰前に発行されていた雑誌や、あるいは商工年鑑などをめくっていると、新刊も古本も、さらには地球儀も万年筆もネクタイも一緒に売っている本屋さんの広告がよく見つかります。また、ある先輩の話によると、パスポートを持って本土に渡航したときに、新刊/古本問わず山のように購入して帰り、それを沖縄で販売したら文字通り飛ぶように売れたのだそうです。

まあ買い手側に区別がないのは当然として、売り手側にもまた事情がありました。県外から本を仕入れるときの船賃の負担です。本屋さんは、新刊書につけられた定価をドルへと変換するときに、独自のレートを使って少しだけ利ざやを増やし、それを船賃や貿易にかかる手数料にあてていたのだそうです。定価はあれど、その売価は古本と同じく変動があったわけですね。

本に飢えていたこと、時代背景から派生した新刊/古本との区別のなさが、いまの沖縄の本屋事情につながったのかもなと、2016年の私は妄想するわけです。
実際のところをご存知の方がおられましたら、ぜひご教示くださいね。

■ ■ ■

話が大きくなりましたが、何が言いたいかというと、そうした境界のゆるさによって、「古本屋さんが本の著者になる」のも頻繁に起こるということです。

その代表格と言えるのが小原猛さんです。沖縄のネット古書店の草分け「ダムダムブックス」の店長さんですが、2011年に実話怪談の本を発行したことをきっかけに、いまや「沖縄の怪談博士」として名をはせています。



琉球怪談』シリーズ第一作。


怪談作家としての単著デビューは、ボーダーインク刊『琉球怪談』です。その後も同シリーズは『七つ橋を渡って』『不思議な子どもたち』(共著・三木静)、『おきなわ妖怪さんぽ』(小原猛と琉球怪団)と続きまして、さらに今年も『琉球怪談作家、マジムン・パラダイスを行く』が刊行されました。

これも、「同業者に沖縄の怪談を集めている面白い人がいる」と、ボーダーインクが日頃から親しくしている古本屋さんが紹介してくれたのがきっかけでした。

小原さんはその後も、東雅夫さんらの『』など各雑誌・媒体での執筆のほか、琉球新報社、TOブックスなどといった県内外の出版社から著書を刊行。「りゅうPON!」での連載などを含めて精力的に執筆をされています。

さらに怪談による地域おこしや、ライター・スチールカメラマンとしての仕事、テレビ・映画・DVDなどの映像作品における監修(たまに出演)など、活躍の場は枚挙にいとまがありません。たまたまTSUTAYAで借りてきたDVDに小原さんが登場して、ぜんぜん中身に没頭できなかったことがあります。レンタル料返せ。

とにかく多才というか、多趣味というか、多忙というか、いろんなことをやっておられる小原さんですが、そのひとつが【ライブの部】でも披露されるドラムです。かなり前に立ち話で「ドラムの経験がある」と教えてもらったのを思い出しまして、「よろしければ今回のイベントでちょっと叩いてもらえませんか」と依頼したところ、「いーよー」とご快諾いただきました。わたしは小原さんに何かを断られたことは一度もありません。とても優しくて親切な方だと思います。

そして、スタジオ練習当日。
やって来た小原さんにドラムを叩いてもらって、一同、超びびりました。
何にびびったかって。
あとは会場で聴いてもらったら分かります。

サマーソニック深夜の稲川淳二みたいに、ブックンロールも時間が極まってきたら小原さんによる怪談語りタイムが…(ない)(ないです)(あったら面白いけどないです)。

さて、当日はどうなることでしょうか。
みなさま、どうぞお楽しみになさってくださいませ。



0 件のコメント: